口コミの功罪
今回「食べログ」について書いていこうと思っていたのですが、先日、ご来店のあったお客様が参考になるので、今回もちょっとだけ脱線して紹介します。
この話は食べログなどの「口コミ」とも大いに関係があるので、ちゃんと読んでくれると嬉しいです。
私たち飲食店はネットに色々と書かれます。
「良いこと」だったり、「悪いこと」だったり、「それ、うちの店のことじゃないでしょ?」ということまで書かれます。
「食べログ」「Twitter」「インスタ」「LINE」「Facebook」「ブログ」などに書かれます。
好き勝手に書かれます。
「良いこと」なら嬉しいですが、「悪いこと」を書かれると、私も人間なので正直落ち込みます。
そうそう、先日ご来店のあったお客様の話に戻しますね。
全員男性の8人グループでのご来店。おそらく初めて。
年齢は50代後半かなあ。
そのうちの一人のお客様が元イタリアンのシェフだったようです。
そのお客様は私たちが提供する料理に対し、質問やアドバイスをしてきます。
「やれこのピザはどうだ」
「やれこのパスタはどうだ」
「やれこの料理はどうだ」
私は(もちろん最高の笑顔で)
「貴重なアドバイスありがうございます」
「調理スタッフに伝えますね」
基本的に
お客様からのアドバイスは完全無視です。
勘違いしないでほしいのですが、お客様をバカにしているわけでは決してないです。
本当に貴重な意見だと思っています。
だって「美味しかったよ」という表現はしてくれても、99%の人は店の人間に対し料理や接客のアドバイスはしませんから。
接客に関して、こちらの不手際があった場合はもちろん受け入れ謝罪し改善します。
ただし、料理や店作りに関してのアドバイスは、よっぽどのことがない限り
完全スルーです。
私も大人ですから、もちろん笑顔で「貴重なご意見ありがとうございます」と答えますが、お客様からの意見を取り入れるつもりは全くないです。
今から4~5年前、都内にこんなラーメン店がありました。
当時マスコミにもバンバン取り上げられて、複数店舖を構え、カップラーメンにもなったくらいの有名なラーメン屋さんでした。私も何度か行ったことがあります。
「食べログ」などのネットに
「やれ味が薄い、やれ味が濃い、やれ麺がどうだ、やれスープがどうだ」と書かれたそうです。
有名店だっただけに、ネット上の口コミの数はハンパなかったと考えられます。
もちろん「良いこと」を書く人もたくさんいたはずですが、
「悪いこと」を書かれると、その数が「良いこと」よりも圧倒的に少なかったとしても、「悪いこと」の方に引っ張られてしまいます。
「99件の良い」よりも「1件の悪い」に気を取られてしますのです。
このラーメン店主も少数の「悪いこと」に引っ張られてしまったようです。
「味が薄い」と書かれれば、味を濃くする。
味を濃くすると、今度は別の客から「味が濃い」を不満の口コミを書かれる。
こうなると自分が純粋に「美味しいラーメンを食べてもらいたい」と思う気持ちがどこかへ行ってしまい、もう自分の思い描く美味しいラーメンが分からなくなってしまったのでしょう。
この店主は終いにはノイローゼ気味になり、全ての店をたたんだそうです。
アラ探しばかりするお客さんって実際にいます。
そういうお客様はどこの店に行っても同じような感じです。
店にクレーム(または善意のアドバイス)することによって、「自分の方が上だという優位性を保ちたい」だけなのです。
店の対応や味や雰囲気とは全く別次元で飲食店を利用しているのですね。
つまり、「自己顕示欲を誇示する」ためです。
「俺ってこんなにスゲーんだぜ!」と言いたいのです。
「食べログ」のプレフィールに
「こうして辛口のレビューを書くのは〇〇県内のフレンチとイタリアンのレベルを上げるためだ」
こんなことを本気で書いている人もいるくらいです。
恥ずかしげもなく、こんなことが書ける神経を私は持っていません。
先日、私の店に来たお客様もおそらくもう来ないでしょう。
というか、そういうお客様は私の店のターゲットではありません。
どうぞ、他の店に行ってください。
(勘違いしないでね。そのお客様は悪い人ではないし、そもそも私たちの料理に怒っていたわけでもないです。結局、最後は満足して帰っていきました)
さて、まとめます。
➀「食べログ」だろうが、SNSだろうが、何を書かれようが無視。そんな口コミに一喜一憂しないこと。
➁口コミなんぞ見る暇があったら、POP一枚書け!!
③自分の店を「好きだ」と言ってくれるお客様に向けて全力で商売しろ!