「いっちゃんのプリン」と「夏の甲子園」 ~「物語を売る」ことの大切さ~
今日の朝、情報番組の「スッキリ」を見ていて「10代の企業家」を特集していました。
その中で兵庫県のある高校生の女の子が出ていたのです。
名前は「いっちゃん」。女子校生だそうです。
どうやら中学生時代から(今は高校生)、「地産地消にこだわったプリン」を製造販売しているそうです。
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何もとりえもなかった「いっちゃん」がお母さんから教えてもらった「プリン」がとても美味しく出来て、自分に自信を持ったそうです。「みんなに食べてもらいたい」という気持ちが生まれて、試行錯誤の末、今では近隣のスーパーに卸したり、ネット通販をしたり、イベントに出店したりしているそうです。何と年商400万円!!
高校生ということもあり、放課後にお母さんと一緒に全て自分たちで作っているので、数に限りがあってなかなか手に入らないくらい人気なのだそうです。
ここに「物語」があるのですね。
①何も取りえのなかった中学生の「いっちゃん」
➁お母さんから教わった「プリン」が美味しく出来た
③プリンを作ることで「いっちゃん」は自分に自信を持つことが出来た
④みんなにも美味しいプリンを食べてもらいたい
⑤中学生(現在は高校生)が作ったプリンがスーパーで売られている
余談(というか本質)ですが、この「いっちゃん」はビジュアル的に可愛いのです。
こういうことを言うと「差別主義者だ」と言われるかもしれませんが、「ビジュアルは才能」なのです。
スーパーのいっちゃんのプリン売り場には「いっちゃんの写真付きの手書きのPOP」が貼ってあるのです。
こんなの売れるに決まっているじゃないですか!!
肝心のプリンの味自体はとってもシンプルらしいです。
味だけ比べると、素材にこだわっているにせよ、他にいくらでも美味しいプリンはあるはずです。ブラインドでテイスティングしたら、当然そうでしょう。
でも、いっちゃんのプリンは、他のプリンよりも圧倒的に美味しいのです。
何故か?そこに「物語がある」からです。
高校野球(夏の甲子園)とアメリカのメジャーリーグを比べてみて下さい。
プレーだけ見れば、どう考えたってメジャーリーグの方が圧倒的に上ですね。
でも、国籍だったり、生い立ちやどれほど苦労したかという背景も、全然知らないプレーヤーなのです。スーパープレーに驚嘆しても、そこに感動は生まれません。
一方、高校球児はどうか?
野球に興味がなかったとしても、同じ日本人だし、きっと苦労したんだろうなというのが分かるし、高校生活が野球一筋だったんだろうな、ただひたすら一生懸命なんだというのがヒシヒシと伝わってくるのです。
だから、メジャーリーグの名プレーを見ても感動しないけれど、甲子園を見ると泣いてしまうのです。
そこには「物語がある」からなのです。
「いっちゃんのプリン」と「甲子園」は全く同じなのです。
私は何度も言っていますが、料理人は試作しながら「素材にこだわったり」「美味しい」「美味しくない」ばかりに拘ってしまいます。半分正解で、半分間違いです。単に美味しさばかりを追求するとキリがないです。不毛です。当然、差別化など絶対に出来ません。
今日のまとめ
あなたの作った料理はもちろん美味しいです。
でも、そこに物語を加えてください。
物語をまとった商品は、どこにもない「輝きを持った商品」になるのです。
どこにもない「あなただけのオリジナル」の商品になるのです。
今朝はこの放送を見て、同じ経営者としてとてもやる気を駆り立てられました。悔しい。自分の力の無さを痛感した朝でした。私もまだまだやれることは沢山あるのだなあ。とても楽しいアイディアが沢山沸いてきました。頑張るぞー!!いっちゃん、どうもありがとう!!